海で・・ 625
茜のこと、少し勘違いしていたかな?
あいつが関わっていたので、きっとはちゃめちゃな脚本だと思っていたけど…全然違うじゃないか。
「みんなのところに行ってみようか」
成美が言う。
「そうですね」
他の観客がいなくなったのを見て、僕と成美は舞台裏へ足を運ぶ。
「うぁ〜!一馬くんが来ていたなんて、ぜんぜん気付かなかったぁ!」
僕を見つけるなり真帆が驚いた声を上げた。
「俺は舞台の上から見つけたぜ。周りの女子とおんなじように、眼をキラキラさせてたもんな!」
そう言うなり、涼は肩を組んできた。
「お前なぁ;…でも感激したよ。僕ちゃんとした芝居って初めて観たよ。」
「どうだった〜?今回の脚本は我ながら自信作のつもりだったのよ〜?」
後ろからニンマリとした表情で茜がやってきた。
「ああ…お前が書いたからとんでもない話になるかと思ったけど、そんなこと全然なかったなぁ」
「だよぉねぇ〜本当は涼の服を脱がせたかったんだけどぉ、植田先輩に反対されちゃったんだぁ」
やっぱり、植田先輩のお陰ってところもあるんだね;
「そりゃあ私だって、高柳くんの裸を皆が見たがっているのは分かったんだけど〜。それは次回のお楽しみにしたのよぉ」
皆がって…;
誰がそんなこと、期待してるって言うんですか?;
ほら涼が不安そうな顔してる。
やっぱりそういう脚本は止した方がいいんじゃないかな…
「へぇー、そういうシーンあったの?ちょっと見たかったかも〜」
おいおい、成美さん…
…まあ、こんな美人に囲まれてる涼が、ちょっと羨ましくもあるけどね。