海で・・ 624
「あ、今日は呼んでくれてありがとうございます。」
まあ一応ね…
「よかった。鈴木くんに観て貰えるなんて感激だな…」
「へぇ?…それってどうしてです?…」
「今回の脚本、実は涼くんと鈴木くんをイメージして書いたのよ。茜ちゃんも乗ってくれてね。」
僕と涼?…そこに茜が絡んでくると…嫌な予感はするよな;
「へぇ〜…それは、楽しみです…」
「今回は自信作になったと思う!後は演じ手の力量だね!」
「わ〜、それってすごいね〜」
成美は能天気に感嘆の声を上げる。
「もうすぐ公演開始するから、2人は待っててください」
「楽しみにしてるよ〜」
成美さんの言っていた通り、プレビュー公演だというのに、客席は立見まで出る反響ぶりだった。
「これってやっぱり、小春さんに環さん、それに真帆を観に来ている訳ですか?…」
「まあ男子の大半はそうだと思うけど、女子もいっぱいでしょ…」
「あ、はい…半分以上は女子ですね…」
「彼女たちの目的は、涼くんなのよ…」
なんだかんだで涼も注目される存在なのか。
嬉しくもありちょっと気持ちは複雑だ。
舞台で演目が始まる。
始まれば脚本のことはすっかり忘れており、目の前で繰り広げられるストーリーに集中している。
どうやら、小春さん、環さん、そして真帆の3人で涼を取り合う物語のようだが…
やっぱりイケメンの涼にはこういう役が似合っている。
観ている女子たちも、目がハートになっているからね;
それにしてもストーリーが面白かった。
こないだの大賀先輩が客演されたあの芝居とは大違いだ。
これって茜の力ってことなんだろか?…