海で・・ 619
確かに、父さんってモテるんだよな…
あかりさん以外にも近づく女性がいるんじゃないかと思ったり。
由佳里さんが気にするのもわかる。
「それじゃあ、またね!」
由佳里さんが車を発進させ、走り去っていく。
…どんなに時が経とうと、憧れの人は綺麗なんだ。
「綺麗な人だな…」
「うん…」ってぅおい!父さん何時からそこにいたのさ?…
「秀人の姉ちゃんだよ;…僕の初恋の相手だったりするんだぜ…」
「ほぉ〜お前も俺に似て、面食いって訳なんだな…」
「うん…女の人に関しては、父さんの好みとだいぶ被るかもしれないな…」
「はは、やっぱり親子ってもんだな」
父さんは僕の肩をポンと軽く叩いて家の中へと入っていく。
「まあ…な」
何処か腑に落ちない気持ちもありながら、僕も続いた。
あかりさんは夕食を作りながら待っていた。
キッチンに行くと、いい匂いが漂ってきた。
賢い女は、男の胃袋を掴むって何かで聞いことがあるけど、それってあながち間違ってはいないよな…
父さんはもちろんのこと、僕までもがあかりさんの作ってくれる食事を、毎日楽しみに帰って来るもんね…
「どうだった秀人くん?…」
「うん、照れてはいたけど、凄く喜んでいたさ。」
「そう、よかったわね。でも、お父さんとしては、これからが大事なのよね」
「それは、アイツのお姉さんも言ってました」
父さんは先に風呂に入っていた。
あかりさんはお皿に料理を盛り付けながら話を続ける。
「私も、なれるかな、いいお母さんに…」
「あかりさんは、大丈夫です、きっと」