海で・・ 614
「おや?お揃いで…またスケベな話しでもしているのかな?…」
聞き覚えのある声に振り返る…
「あ、由佳里さん!」
「な、何だよ姉貴ィ;わざわざ来なくても…」
「何言ってるのよぉ、私にとっても可愛い姪っ子の誕生なんだから、来るの当り前じゃない!」
「由佳里さん、お久しぶりです」
「ふふ、一馬くん、元気そうね」
…まさか秀人がいない間に、由佳里さんとやったなんていえないよね。
「まったく、おばさんになるのが嫌だと」
「なんか言った?」
「…何でもありません」
…やはり姉には頭が上がらないな。
「それより、アンタは旦那様として奥さんのそばにいたほうがいいんじゃないの?」
「そ、そうか〜?」
頭を掻きながら秀人は言う。
「そんじゃ一馬も赤ん坊の顔見てってくれよ。」
「え、いいのか?」
「何遠慮してんだよ、まさか俺に会いにだけ来たって訳じゃないだろ?」
確かにそうだ…でも秀人に一言お祝いを言えれば、それでいいと思ってはいた。
「それじゃあ彩さんにもオメデトウって言いたいし、一馬くんも一緒に行きましょ!」
「姉貴も来るのかよ;…」
「当り前でしょ!私はアンタの顔を見る為に来た訳じゃなのよ!」
由佳里さんが僕の手を引いて病院の中に導く。
…ちょっと強引だけど、それが嬉しかったりもする。
逸る思い抱いてアヤさんがいる部屋に。
ドアを開けると、ベッドに横になるアヤさん、その側に唯さんと優ちゃん。
「久しぶりね、一馬くん」
アヤさんが変わらない笑顔で迎えてくれた。
何時もと違ってノーメイクのアヤさんは、少女のように幼く見える。
可愛い…
僕は少し照れながら、笑顔を返す。
「おめでとうございます。よかったですね。」
僕の横から由佳里さんが顔を出す。
「あぁ〜由佳里さん!来てくれたんでぇすねぇ〜!」