海で・・ 613
「ふふふ、照れちゃって可愛いんだからぁ〜」
「もう、あかりさんが心配なだけですよ…」
あかりさんはニコニコ笑って余裕の表情。
…そういうところは子供っぽくて可愛いのは確かなんですが。
「父さんが帰ってくるまでには服着てくださいよ?」
「はーい」
僕は逃げるように2階へ上がり、自分の部屋に入る。
…そのとき、スマホが震え、メールの着信を知らせる。
『無事赤ちゃんが生まれたぞ…可愛い女の子だったよ』
メールの主は、秀人だった。
うぁ!秀人もいよいよ父親かぁ!
嬉しくなってあかりさんに報告しに行く。
あかりさんは秀人とは面識は無いけれど、僕が秀人の事をいろいろ話すから、無事に赤ちゃんが産まれる事を心待ちにしていてくれたんだ。
「それはよかったぁ!直ぐに行ってあげなさい。先輩パパにエールを送らなきゃ!」
先輩…かぁ。
僕もいずれはそうなるのかな…
まだ時間は十分ある。
僕は秀人、アヤさんがいるだろう病院に向かった。
…
「よう、一馬!」
「秀人!よかったな!」
僕がすぐに来るのを見越していたのか、秀人は病院の入り口の前で立っていた。
「マジにおめでとうなぁ!」
僕は秀人の肩を力いっぱいに握った。
「ああ、一番始めにお前に知らせたんだぜ。」
秀人は照れたようにニヤリと笑った。
「女の子だって?」
「ああ…元々彩ん家は女系家族だからさ、やっぱそうか?って感じだぜ…」
「まあ、性別はどっちにしても可愛いだろ」
「当たり前だ。早く退院して、家でゆっくりしたいな」
「そうすればお前も禁欲生活を抜け出せるな」
「そっちかよ!…まあ、彩は2人目、3人目も欲しいっていうしなぁ」
「頑張れよ、お父さん」
「お前に言われるとなんだかなぁ〜」
そう言いつつも、秀人は物凄く嬉しそうだった。