海で・・ 596
そう言われてみると、読書する有馬さんはとても似合っていた。
それに比べると僕は、読書と言ったら漫画本かエロ雑誌しか読んだ記憶が無かった。
「この学校の図書室なんて行ったこと無いよ…」
「最近は携帯で何でも手に入りますから、図書室はあまり人気無いみたいですね…」
確かに僕の最近のオカズは、エロ雑誌より携帯から手に入れることが多いもんね;…
特に用もなく、僕は有馬さんについて図書室に向かった。
唯のことは気になったが、別に今日にこだわらなくてもいいだろう。
図書室は人気がなく、シーンと静まり返っていた。
「誰もいないね」
「それが逆にいいんですよ…心が落ち着きます」
心が落ち着くなんて、なんて古風な子なんだぁ〜
茜に爪のアカでも煎じて飲ませたいよね…
「有馬さんはよく図書室利用しているんだね…」
「ええ、放課後は今日みたいに誰もいないことが多いんで、好きなことが出来ちゃうんですよ。」
好きなこと、かぁ。
静かな空間に一人佇む文学少女・有馬さん…絵になるなぁ。
「いつも一人なんでしょ」
「ええ」
「僕がいて、お邪魔にならないかな」
「いえ全然…鈴木くんにも一緒に味わってもらえれば、それは嬉しいから」
「うん是非そうしたいけど、僕にその極意が分かるかなぁ?…」
「鈴木くんなら大丈夫ですよ…いろいろ考える、好きでしょ?」
「あ、いや、その;…」
絶対有馬さんは僕のこと買い被っているよね?…
今だって、誰もいないこの図書室で、あわよくば有馬さんにキスでも出来ないか?なんて考えていたんだよね;…