海で・・ 570
こうして真帆を抱いていると凄く癒され、安心する…
それは出しきった性欲が起きてこないお陰だろうけど、なんだか本当の意味で一つになれたような気がした…
「この先、何があっても一緒にいような…」
真帆の後頭部に顔を押し付け、僕はギュッと抱きしめる…
「ありがとう…私も、これからもずっと、ずーっと、一馬くんと一緒にいたい…」
真帆も僕のほうに身体をもたげてくる。
しばらく浴槽の中で、こうして抱き合っていた。
風呂を出ると、リビングはシーンと静まり返っていた。
隣の和室を覗くと、彰人と、その隣で初音と優ちゃんが並んで寝息を立てている。
みんな今日は朝早くから来てくれたもんな、仕方ないよね。
そこに2階から下りて来る足音と共に、パンツ姿の涼が現れた…
「おっ涼…どうした?…」
「あ、茜が喉が渇いたって言ってな…」
“野上”とではなく…“茜”と言っていることに、僕は全てを察知した…
「よかったな!涼…」
僕の言葉に涼は一瞬固まったが、僕が言ったことを理解したのだろう…次にはニヤっと頬を上げ、これ見よがしにピースマークを掲げてきた…
他人事ではあるが、非常に嬉しいことだった。
軽くやり取りを交わした後、涼はそそくさと茜の要求に応じるべくキッチンに向かった。
「高柳くん…どうしたの?」
「うん、茜と、できたみたいだ」
その言葉で、真帆も何かわかったようだ。
「良かったね…」
安心したような笑顔だった。
ペットボトルを手にキッチンから出てきた涼は、真帆の姿を見るととバツの悪そうに頭を掻いた。
「くすっ、聞いたよぉ。オメデトォ」
「あ、いや‥何だか照れるなぁ:…」
僕に救いを求めるかのように、頬を赤らめる涼‥
「照れること無いさぁ〜!誰でも1度は通る道だからなぁ!」
僕はお茶らけながら、涼のパンツのゴムをパチンと鳴らした。