海で・・ 556
「なんか俺、一馬のこと尊敬したよ…」
マグカップの紅茶を啜りながら、涼がぽつりと口にした…
「おい;いきなり何だよ…僕なんか涼に比べたらぜんぜんじゃないか…」
「そんなこと無いよ…一馬は皆から愛されてる…。ホント羨ましいぜ…」
「そうなのかな…?」
「絶対そうだよ。じゃなかったら信藤さんたちだってみんなここには来ないし」
「僕なんて、大してかっこいい奴でもなんでもないんだけどね…」
「人は見た目だけじゃないよ。一馬は性格がいいから、みんなに好かれるんだよ」
「なんだよなんだよ…僕が出会った中で1番のイケメンの涼の方が、僕にとっては羨ましいよ…」
それは本当だった…
僕なんかが女の子に好かれようと、一生懸命努力する階段を、イケメンの涼は何段か飛ばしで、すっ飛ばしていくんだもんな…
「いや…僕だって正直、一馬には勝てないよ」
涼は爽やかに微笑みながら僕の言ったことを否定した。
「一馬みたいに、中身までともなってないんだ、きっと…だから、信藤さんは一馬のことが好きなんじゃないかな、って思うんだ」
「涼…」
やっぱり、真帆のことを意識していたのかな…
「それにさ…一馬は信藤さん以外とも…ちゃんとヤってるしさ…」
「おい;…ちゃんとって何だよ?ちゃんとって;…」
「ははは;…実は俺さ…信藤さんと出来なかったんだ…」
「ああ、何となくは彰人から聞いたよ…」
「うん…三擦りであっという間にイっちゃってさ…その後はなんか勃たなくなっちゃってよ…」