海で・・ 553
「まさか、こんなことになるなんてな…」
彰人は湯船に浸かりながらため息をつく。
「嫌だったか?」
「そ、そんなことはないさ…」
やれやれとは思いながらも、自分が童貞卒業できたことにはいい思いを抱いているようだ。
頬が明らかに緩んでいたからだ。
まあ、何はともあれ友達の童貞卒業はめでたいことだよな…
「涼はどうだったんだよ?…」
真帆の相手だっただけに、彰人に対してのように素直に喜べないですけどね;…
「あ、涼はまだ童貞らしいぜ…」
「へぇ?…それってどういうことだよ彰人?…」
僕を挑発するように涼に跨がっていた真帆を…僕はちゃんと見ているんだぜ…
「まあ、そういうことさ」
涼はそれだけ言ってシャワーで身体を洗い始めた。
…真帆が涼に跨っていたのは事実だけど、『入って』はいなかったってことなのかな?
それだったら涼はまだ童貞卒業ではない。
それと、あの後真帆が僕の問いに対する悪戯っぽい笑みを見せたのも…
真帆さん、アンタって人は…
「素股ってやつだったみたいだぜ…アイツのアソコ…入れさせては貰ってないらしい…」
湯船で肩を密着させ、彰人が僕の耳元に手を翳しながら言う…
僕は心の中で燻っていたモヤモヤが、一気に晴れたような気分になりながら、シャワーの水滴を垂らす、涼の小さな一物をしげしげと見つめる…
それはそれで残念のような、気の毒のようにも思える。
近くで彰人はナカまで入れさせてもらえたんだからなおさら。
『別にいいさ、気にしないでくれ』
涼の背中はそう言っているようだった。
「まぁ、あいつは他にも好意抱いてる女がいるから大丈夫だろ」
彰人は声を潜めて言う。