海で・・ 500
「やばぁ;…」
僕は慌てて布団に潜り込む…
こんなことなら初音と一緒に服を着るんだったと後悔する…
「初音ぇ〜静かになったけどぉ、終わったぁ〜」
おい茜;…そんなデカイ声で叫ぶと近所に聞こえちゃうよ;…
「はいはい〜、とりあえずね〜」
…とりあえずってなんだよ、とりあえずって。
ガチャリ
ドアが開き、3人が部屋に入ってくる。
「…ってえか一馬、何してんのさ」
「あ…服着てないなこりゃ」
初音さん…アナタのせいで…
と、いきなりガバッと布団を捲り上げられ、僕は慌ててベッドの隅で膝を抱えた…
「いゃだ〜一馬くん、パンツも掃いてないのぉ?〜」
大袈裟に口を押さえる茜…
僕は君を呼んだことを後悔するよ;…
「うぁ〜まだ水着の跡あるんですね…去年の夏のでしょ?」
優ちゃん…そんなことに感心しないでいいですから;…
「いったん部屋出よーか。そのほうが一馬も着替えやすいっしょ」
おお、初音…君ってやっぱり優しいんだね…
「じゃあ待ってますねぇ〜」
ノリの軽い返事で真帆。
そして部屋から出て行く4人。
ドアが閉まるのを確認してベッドから飛び起きる。
…えらいもの見られたな
しかし、去年の夏、か…
そう…
全てがあの夏から始まったんだよな…
あの海でミキさんに出会っていなかったら、多分真帆とも付き合ってはいなかっただろうし…
そうなると、初音と茜ともただのクラスメートに過ぎない関係だったかもしれないよな…
そう思うと、薄っらと残った水着の跡が愛おしくもなる…