海で・・ 494
味噌汁の何とも言えないいい香りが漂ってくる…
普段、洋食が多いあかりさんとはまた違った食欲がそそられる…
「流石初音だよね〜、いい奥さんになるよ〜!」
…茜さん、そんなことを言ってる暇があるなら、少しは手伝いなさいな…
テーブルに並べられたメニューを見る。
野菜炒めに魚の塩焼き、味噌汁に合う和食がズラリと並んでいる。
「これ、全部初音が作ったの?」
「そうだよー」
…まあ、キッチンにいたのは初音だけだしな。
それにしてもすごい。さすが料理人の妹だ。
胸のデカさだけじゃなく、料理の腕も咲乃さん譲りなんだね。
なんだか持って生まれた血筋ってもんを感じてしまうよ。
そう考えると、僕の"女の子大好き"ってところは、父さんからの遺伝なんだろうか?
僕も父さんぐらいの歳になっても、あかりさんみたいに可愛い人と温泉旅行に行けるかな?なんて考えてしまう…
「ご飯はレンジで温めるパックのやつだけどね」
「それでも、これだけのおかず作っちゃうんだから初音ちゃんすごいよ」
「へへへへ、よければ優にも教えてあげようか?」
完成した料理をみんなで囲み、朝食の時間。
『いただきます!』
「滅茶旨いよぉ!」
「ふふ、皆で食べると何でも美味しいんだよぉ〜」
嬉しそうに微笑む初音の顔が、輝いて見える。
まあそうなのかもしれない、こんな大勢での朝飯は修学旅行以来だ。
1人っ子の僕としては、女兄妹が出来たようなキラキラした気分にもなる。
「芝田くんも高柳くんもホント残念だよね。こんな美味しい朝食逃すなんて勿体無い…」
「言えてるぅ〜ほんの少しの勇気出せば、いいことっていっぱいあるぅのにねぇ!」