海で・・ 493
「じゃあ、今から作るから、待っててね〜」
「うん、期待してる〜」
…僕の代わりに答える真帆。
初音は食材を抱えながらキッチンへと向かった。
「芝田くんと高柳くんはまだ来ないの?」
「あー…まだ返信が来ないね」
「来ないなら来ないでいいよ…それなら別の楽しみが出来るから」
真帆が言う。
隣の優ちゃんが不思議そうに首を傾げた。
…おい真帆、お前は何を考えてんだよ;
「別の楽しみって何です?…」
優ちゃん…この雌猫の言うことなんて聞かない方がいいですって…;
「それゃあ女子ばっかりの中、男子が一人…いろいろ知りたいこともあるでしょ…」
…おい
真帆さんや、君が何を期待してるのか、もう…
隣で茜さんも妙に納得しないでよろしい。
「??」
まだキョトンとしたままの優ちゃん。
「優もいずれわかるさ」
…茜さん、余計なことを教えないでください。
ホントに彰人と涼が来ないとなると、この後どうなるのか…
あんな薄地のタイツなんか掃こうもんなら、何されるか分かったもんじゃない;…
「あっ、ちょっと彰人と涼に連絡とってみるよ…」
僕は携帯片手にリビングを後にする…
「ふふ、ちょっと脅かし過ぎちゃったかな?…」
茜に向かい、ペロッと舌を出す真帆…
「いいんじゃない?…結構一馬くんって、そういうの好きそうだもん〜」
一馬が出て行ったリビングの扉を見詰め、茜が頬を上げた。
…何度か電話もメールもしてみたが、彰人も涼も反応がなかった。
「はあ…」
がっくり項垂れ、ため息を吐く。
本当に寝ているのか、それとも行きたくないからわざと出ないのか、僕にはわからない。
「一馬ぁ、朝ごはんできたよ〜」
戻ってくると初音がそう言ってきた。