海で・・ 491
風呂から出ても、まだ時間に余裕はある。
濡れた身体を入念に拭いて、また服を着る。
部屋に戻って携帯を確認すると、女子勢から相次いでメールが来ていた。
『了解!』だの『今すぐ行くよ』だの。
皆さん期待してたのかな?早起きですなぁ。
…一方で彰人と涼からの反応はなし。
こちらは遅れそうですな。
まあ僕同様に、彰人も涼も変な仮装なんてしたくは無いだろうな…
ましては彰人は女装だもんね…
いっくら女の子たちとのパーティーを彰人が楽しみにしていたからって、二の足を踏んでしまうのは男だったら当然だよな…
そう思うと、彰人が哀れに思えてもくるよな…
外がようやく明るくなってきた。
衣装の入った袋を部屋から引っ張り出して、リビングに置く。
コーヒーを入れて、ソファーに座って一杯飲む。
こんな時間、滅多にない。
心なしかソワソワしてきた。
…自分の家に、同年代の女の子が、しかも複数人来るんだよね…
初めてのことで、どうすればいいのか、全く見当がつかない。
本当だったら何か食う物でも準備したりするんだろうけど、生憎、家庭科の成績は悪かった。
こんなことなら、中学時代秀人と授業をふけたりしなければ、パスタの一つでも作って女子たちに感激されたのにと、後悔もする。
まあ腹が減ったら、コンビニに買い出しに行くか、宅配ピザでも頼めばいいよね…
コーヒーをもう一杯口にしながら、これから来るであろう参加者たちの顔を一人ひとり浮かべる。
ミキさんも一緒だったけど、真帆、結構料理できるよな…
初音のお姉さんは料理人だし、きっとアイツだって…
…いや待て、何他人に期待してるんだ僕
魅力的な女の子たちだけど、他力本願って男としてどうよ、と思ってしまう。
ピンポーン
「おっ…」
そんなことを思っているうちに、客人がやってきたようだ。