海で・・ 488
それぞれに大きな袋を抱えて衣装部屋から出てきた。
皆が何を着るのかは、明日のお楽しみって訳なのかな?…
「涼、お前も女装すんのかよ?…」
「まさか;…僕は彰人みたいに可愛いくなれね―からな…」
そういう問題でもないだろう…;
彰人はいつの間にか帰っちゃったし。
…恥ずかしすぎて言えないような衣装とかだろうか?
まさか、ホントに女装するつもりなのか…
僕も植田先輩、そして真帆から託された衣装を持ち帰る。
あかりさんには気づかれないように、と。
玄関のドアを開ける。
…お、いつも出迎えるあかりさんがいない。どうしたのかな?
そう思っていると、廊下の向こうからシャワーの水音が聞こえた。
神様がくれたこのタイミングを逃しでもしたら、絶対にこの衣装に着替えさせられるもんね;…
僕は忍び足でそっと2階に上がる…
「あれぇ?なんだ…帰ってきたんだ〜」
な、なんであかりさんが2階にいるのさぁ〜?
「えっと…今シャワーを浴びているのはぁ…?」
「あ、お父さんよ…なんでも打ち合わせ先から直帰できたとかで、早く帰ってこれたんだって〜」
「ああ…そ、そうなんだ…」
「うん…それより、なんかすごい荷物だね」
…やっぱり気づかれた。
「…た、大したものじゃないよ」
「ふふふ、明日使うものかしら?」
…鋭いなぁ。
「誰かが家にやってくるのは決まったんだね」
あかりさんはニコッと笑って言う。
「うん。クラスの友達数人が来てくれることになったんだ。」
「よかったぁ!…誰も来てくれなくて、一馬くん一人でお留守番になったら悪いなって思っていたんだ…」
変な格好させられることになった今となっては、一人でエロビ三昧でもよかったような気もしますけどね;…
「そんなこと気にしないで、あかりさんは父さんと楽しんで来てくださいよ。こっちはこっちでやりますからね。」