海で・・ 487
茜と優ちゃんによって女装させられた彰人の姿がそこに…
「芝田くん、完全におもちゃだね」
「…ああ」
彰人…ご愁傷様。
そして優ちゃん…君はある意味アヤさん以上だよ。
「一馬くんはああはならないでしょ〜」
植田先輩から衣装を任された真帆。
「案外似合うかもしれませぇんよぉ」
「お、おい!…それだけは勘弁してくれだぞ!…」
このまま此処にいるとそんなことにもなりかねないので、衣装を抱えた真帆を連れ早々に部屋を出る。
「ふふ、女装やなんだぁ…」
「そんなの当たり前だろ!」
「芝田くん、可愛いかったじゃん…」
確かに…メイクでもすれば完全に騙されるよな…
「アイツはもともと女顔だからな…」
「一馬くんは興味ないの?…女装男子って最近流行ってるらしいよ〜…」
「ある訳ないだろ!」
「へぇーそうなんだあ」
…うん、頑なに断らないと口車に乗せられて僕まで女装させられてしまう。
「まあ、男は男らしくないとね」
…意外にあっさり引きましたね。
「ところで」
「ん?」
「お父さん、本当に新しい女の人、できたの?」
そこを突っ込んできたか…;
「ああ、新しいと言っても、付き合いは長いみたいだけどさ…」
隠してもしょうがないんで、正直に話す…
「一馬くんはお父さんのこと許せなかったりしないの?…」
真帆が真剣な顔で聞いてきた。
「多分これって…女の人には絶対に分からない事だと思うんだけど、同じ男として、父さんを攻める気持ちはないんだよね…」
「そうなんだぁ…」
真帆が呟く。
実の姉妹でありながら苗字が違うミキさんと真帆、それが、広隆さんと紀美子さん、どちらに責任があったのか僕にはわからない。
ウチの父さんとあかりさんの関係は、真帆にはわからなくても仕方がないだろう…
…さて、衣装は選び終わったようだ。