海で・・ 459
「…ごめんなさい、私も鈴木くんと似たような家庭だから」
あ、そうなのか…
植田先輩も、血の繋がらない新しい親の存在に悩んでいたりするのかな?
同じ環境なら、少し相談もしてみたくなる。
「恋愛なんて、遠い話だよね」
「はい…」
「鈴木くんも…大変な思いしているんだね…」
「あ、はい…」
確かに積極的なあかりさんにタジタジなのは認めざるおえないよな…
もし僕が父さんを省みずに、本能だけに邁進していたら…今頃は朝夕問わずに見境なくやってるかも?…だもんな…
「一馬くんも大変なのね。部活どころじゃないのかな」
「いや、そういうわけでもないんですけど…」
香織さんの問いに、そう答えることしかできない。
「いいよ。無理しなくていいから。たまに、思い出したら顔出してくれると嬉しいな」
この言葉は、成美と同じだった。
空が暗くなってきたので、ここで解散し、帰り道についたのだった。
成美にいっぱい出したせいか、身体はぐったりと疲れていた。
あかりさんが用意してくれた夕飯もそこそこに自室に戻る。
ベッドでうたた寝していると、帰ってきた父さんが心配気に入ってきた。
「一馬、どうした?…具合でも悪いのか?…」
「あ、お帰りなさい…ちょっと風邪ぎみなのかな?…」
学校で激しくセックスしたせいだんて、言える訳ないもんね;…
「そうか?無理するなよ。母さんのことからまだそんなに経ってないからな…」
あかりさんの存在によって夜の生活は今までより充実してるけど、やっぱり父さんも、母さんのことは忘れられないのかな…?
父さんが部屋から出ていく。
思い出すのは、成美の身体…よりも演劇部のこと…