海で・・ 455
ま、それでこそ演劇部というものか。
「そして脚本は私が書いたんだ♪」
僕に向かってドヤ顔かましてくる茜。
「ほう、そうか」
そう言いつつ茜のおでこにデコピンを一発。
「痛え!何私だけその仕打ち!?」
…黙りなさいすべての元凶さんよ。
「まあまあ、すべては監督の私の責任だから…」
植田先輩に宥められる。
「いえ、勘違いした僕にも責任がありますから…」
一応、謝っておくべきだよね…
「演劇部は今涼くん一人しか男子がいないから、大賀くんみたいにどうしても助っ人を頼まなくちゃいけないのよね…」
「はあ…また今回みたいな事が無いといいですね…」
「ふふふん、これが上々の評価なら、次はもっと過激にいってもいいと思うのよね」
鼻息荒い茜。
「おっと手が滑った」
「ぐげええええええ!!!!!」
茜の首を軽くキリキリと絞める。
「あのなあ、お前、学校の部活でこんな芝居やって問題になると思ってないのか!?」
「だって香織センセがいいって言ってくれたもん!!」
え…
香織さんが…?
藤堂先生を虐めていた香織さんの姿が甦る。
確かにあの香織さんだったら、寸なりOK出しそうだよな;…
「でも困ったは…」
「ん?植田先輩どうしたんです?」
「見たでしょ?成美の剣幕ぶり…あの様子だと大賀くんは出れそうにも無いはよね…」
そりゃあ成美…さんからしてみれば、自分のカレシがあんな役をやるのは嫌に決まっているよな…
「一から企画を練り直しね」
植田先輩が困り気味に笑顔を見せた。
「ね〜、一馬、やってくれない?」
僕の腕をくぐり抜けた茜が言う。
「ええっ、僕が…?」
「まあ、偶然だけどこうして見たわけだしね」
今まで黙っていた涼も言う。