海で・・ 453
「な、成美…?」
大柄で筋骨隆々の身体にはとても似合わない情けない声を出しながら大賀が成美を見つめる。
「アンタ最低!!嫌がる女の子を無理矢理やるなんて男としてどうかしてるわよ!」
「いやいやいや違うんだって!俺は別に…」
「じゃあさっきの叫び声は何なの?」
…見た目に似合わず、大賀は成美に頭が上がらないのかな
「さ、今のうちに真帆ちゃんを…!」
植田先輩、涼、茜と一緒に部室の中に駆け込む。
そんな僕たちに対して真帆もなんだか驚き顔だった。
…真帆?、せっかく助けに来たのに、どうしたんだよ?
「あれっ?…皆血相変えて、どうしちゃったの?…」
「どうしちゃったじゃ無いよ、大賀修にレイプされそうになっている真帆を助けに来たんじゃないか…」
「へぇ…?レイプ…?」
え?
真帆までキョトンとして、いったいなんなんだ…?
「あ、う、うん…ありがとう…ごめん…」
真帆が脱がされた服を手にとって言う。
…まさかな
でも、あの声は明らかに嫌がってたじゃないか、ならなぜ?
茜が真帆の身体を支える。
「えっと、真帆ちゃんの彼氏くん、だよね?」
「ええ、まあ…」
「私、植田瑠璃子。演劇部の部長をしてるの。成美や大賀くんとは同じクラスで」
「あ、演劇部の…」
「ごめんなさいね…実は今回の新作、大賀くんに客演を頼んでいて…」
「へっ…芝居だったんですか?」
いや、あれは確かにリアル過ぎだった…
「悪りぃ―悪りぃ―、俺つい真剣になり過ぎちまって、現実と芝居の区別がつかなくなっちゃったんだよ…」
大賀さん…;
役にのめり込み過ぎて、その人物に成りきっちゃう役者がいるって聞きましたが…そういうことですかね?
「あー、それじゃ、何か申し訳ありませんでした」
「ううん、誤解させてこっちこそごめんね」
植田先輩に頭を下げる。
ぶふぅっ
僕のほうを見て笑いを必死に堪える茜。
…コイツはあとでお仕置きしようか。
…で
もう一人勘違いしたお方…成美は、その場に俯いて立ち竦み、わなわなと震えていた…