海で・・ 428
…その後、戻ってきたミキさんに服を渡され、保健室で着替えた。
もう外が暗くなり始めていたので、ミキさんが家まで送ってくれるという。
真帆は律儀に僕を待ってくれていた。
僕が保健室で寝ていたことを知ると、途端に心配そうに僕を見つめるので、あくまで大丈夫だとアピールした。
真帆もミキさんの車に乗って、一緒に帰った。
今日はなんだか一日が長く感じた。
玄関でスニカーを脱いでいると、あかりさんがキスで出迎えてくれる…
いいのか?まるで新婚夫婦みたいじゃないか;
「父さんはまだ帰ってないんだね…」
あかりさんの押し付けられる唇の隙間から、僕はやっとの思いで声を出した。
「あ、一馬くんに言うの忘れたんだ」
「何かあったの?」
「お父さん、今週いっぱい出張なの」
「へえー…って、マジですか?」
「うん、マジマジ」
…ってことは、今週はあかりさんと2人なのか…
「…ちょっとさみしいよね」
あかりさんは困りながらも笑顔を見せた。
「心配いりませんって!…僕がついてますから。」
チュッとあかりさんの唇にキスをする。
父さんが帰ってこないとなると、僕は急に大胆にもなれるのだ。
「だめぇだよぉ〜制服シワになっちゃうよぉ〜」
おいおい、帰ってくるなりあんなに深いキスをしてきたのはどこの誰ですかね?;
全く、あかりさんという人は、大人の女性でありながら子供っぽさも併せ持った不思議だけど魅力的な人だ。
「晩御飯作るから、着替えて待っていてね」
あかりさんはそう言ってキッチンへと向かう。
僕は2階の自分の部屋に行き、制服を脱いで着替えをする。
ああ、そういえば、今日はいったいどれだけの人に見られてしまったのだろうか?