海で・・ 414
「…なんだよ、人のことニヤニヤ笑っておきながら」
「男だから仕方ないのさ」
「まあ…そうだけど」
涼はそそくさとトイレの個室に駆け込む。
「そうだ…一馬」
「どうした?」
「デートの話…断られちゃったんだ…」
寂しそうな涼の声とともに、個室の鍵がかかる音がした。
「そ、そうなんだ…」
僕は個室のドアに近づき、呟くようにそれに返した。
ベルトの金具を外す音が狭いトイレの中に響き、続いてチョックを下げる音がした…
よかった…と思う半面、涼に対して悪いことをしたような罪悪感が沸いてくる…
ゴメンな…
僕は心の中でそう囁き、中から微かに聞こえる擦れる音に耳を傾けた…
僕や涼がどうこう言おうと勝手だ。
最終的に、真帆が判断したことなのだから、真帆の意見を尊重すべきなのだ。
それでも、涼には申し訳ない気持ちがあった。
個室に篭った涼に背を向け、僕はプールに戻った。
「あっ、鈴木くんだっけ」
「はい?」
先輩らしき女子に声をかけられる。
先輩…なのだが、身長は初音並みか、というくらい小柄な方だ。
「あ、私、相楽愛美。このクラブの部長なの」
「あ、どうも…」
軽く頭を下げ、何気に股間を両手で隠した。
いくらトイレで治めたとはいえ、このモッコリとした膨らみは流石に恥ずかしい…;
「どう?鈴木くんも見ているだけじゃなく、少し参加してみない?…」
「えっ?…そ、それは…;」
そんなことしたら、また勃起しちゃうのは目に見えていた…;
相楽先輩も、他の先輩たちも、工藤さん同様麗しい水着姿で、さっき出したばかりの分身が元通りになってしまうのは時間の問題だ。
「一緒に入りましょ!」
「あ、はあ…」
相楽先輩に手を握られて、僕はプールに向かう…