PiPi's World 投稿小説

海で・・
官能リレー小説 - 年上

の最初へ
 40
 42
の最後へ

海で・・ 42


「え、ああ、ご、ごめん!今すぐ着替えてくる!」
慌てて自分の部屋に戻り、タンスから適当にトレーナーとジーンズを取って身に着ける。
そして再び玄関に戻る。

「ごめん…」
戻ってきてもなお信藤さんは俯いていた…
というより、下を向いて、必死に笑いを堪えていた。

「あ!あぁ、ごめんなさい」
信藤さんが顔を上げた。
顔がにやけたままだったが、それは自分のせいでもあるので突っ込まない。
「立ち話もなんだから、中に入ってよ」
僕は信藤さんを家に招き入れた。

玄関で靴を脱ぐ信藤さんの肩は今だ震えていた。
(そんなに笑うことかよ?)と思いもしたが、久しぶりに見る、信藤さんの笑顔は嬉しかった。
こんなに明るい笑顔を見れるのなら、僕はダサいトランクス1枚で街中を走り回ってもいいと思ったぐらいだ・・

「僕の部屋に・・」と言いかけたが、エロ雑誌が燦爛している場所に女の子を入れる訳もいかず、仕方なくリビングに通す。
考えてみると、僕の家にこんなに若い女の子が来るのは始めてだった。
親父に見られたら、それだけで歓喜の声を上げそうで、留守でよかったと胸を撫で下ろす。

「お邪魔します。お家の人は?」
「買い物。夕方まで帰って来ないよ。。」
「よかった。」
(へぇ?何がいいのか・・?とも思いもしたが、やはり緊張するよな..と、思いなおした。)

食器棚からコップを取り出し、冷蔵庫にたまたま入っていたオレンジジュースを注ぐ。
二人分用意し、片方を信藤さんに差し出す。

「こんなのしかないけど」
「いえいえ、わざわざありがと」

しかし、なぜ信藤さんはわざわざ僕の家に来たのだろうか?
「今日は、またなんで僕の家に…」
「うん、鈴木くんって、戸山くんと仲いいでしょ?」
「まあ…あいつとは昔からずっと一緒に馬鹿なことばかりやってきたけど、ホントはすごくいい奴で、一番の親友だと思ってる」
「そう、だよね」
予感はあったが、やはり秀人の話を切り出してきた。

オレンジジュースで濡れて、ふっくらとした形のいい信藤さんの唇は、艶やかに輝いて見えた。
下唇をキュと噛む、その仕種に僕は見とれる。

「周りの皆は悪く言うけど、本当の戸山くんを分かってはいないよね。
誰よりも気がつくし・・・強がっている癖に小心物で・・・カッコつけだけど、可愛くて・・」
「あ、ああ・・」
最もだった。
短期間しか付き合っていないのに、信藤さんは秀人という人間を、よく分かっていると思った。

それでも・・僕は面白くは無かった.
秀人を誉める信藤さんに対して、いい気はしていなかった。

それが世間で言われる『嫉妬』であると気づく程、僕は女の子との経験が無さ過ぎた。


秀人のいいところを話す信藤さんは、すごく楽しそうな顔をするのだが
「最近、秀人と、その、デートとか…」
「うん、最近は、全然、だね…家にも遊びに来なくなっちゃったし」
「その上、あんなことが…」
「うん…ショックだったな…戸山くんが、あんなことに…」
寂しそうな顔を見せる信藤さん。

「戸山くんは、年上の女の人が好みだって」
「まあ、今までやってきたことから見ればねえ」
実際、年上好きのあいつがいたからこそ、僕はミキさんと知り合うことができて、付き合うに至っているのだから、秀人には感謝しているのだ。

SNSでこの小説を紹介

年上の他のリレー小説

こちらから小説を探す