海で・・ 399
「いいんじゃない?せっかくの高校生活、部活に入るのと入らないとでは大違いだよ。」
「あ、でも水泳部は…?」
「そんなこと気にしないでいいはよ。私とは違う世界を知るのも勉強になると思うよ。」
ミキさんはにっこりと微笑み、僕の頭を撫でてくれる。
「工藤さん始め女子部員ばっかりだから、一馬くんが来てくれると皆喜ぶと思うはぁ!」
え?
…女子部員ばかりって
初めて聞く言葉に、僕は拍子抜けしてしまう。
「今、なんて言いました?」
「ん、水泳部は女子ばかりだからって」
「男子はいないんですか…?」
「…いたっけ、今」
香織さんがミキさんに尋ねる。
「一部では流行っていると言っても、抵抗はあるみたいなんだよね。」
「ゥえ?いましたよね、水泳部も男子…」
ブーメランみたいな小ちゃい競パンを穿いた男子は確かいた見た。
「あれは藤堂先生が顧問する水泳部だよ。」
「ぅえ?それじゃあミキさん顧問する水泳部って?」
「あれ?言わなかったっけ?…私が顧問してるのは水泳部内のシンクロ部門だよ。」
「へぇえ?シンクロ?」
ああ、確かに、今から十数年前かな、男子のシンクロナイズドスイミングを題材にしたドラマが流行ったのって…
「って、シンクロだったんですか!?」
「そうだよ。一馬くん、知らなかった?…ごめんね」
ミキさんが肩を窄めて、謝ってきたので慌てて
「いえ、そんなこと、ないです…」
…まあでも、藤堂先生が関係しないのなら、彰人や涼はじめ、ほかに男子を誘いやすくなるかもな…
「そんなにミキさんが困っているのなら、友達も誘ってみるよ…」
「よかったぁ〜始めから一馬くんに相談すればよかったぁ」
「そうですよ…ミキさんも香織さんも僕でよかったら何でも言って下さいよ…」
「ほんとにいいのかな?…」
「勿論ですよ、香織さん…」
「実は私の顧問する演劇部も…男子がいなくて困っているのよ〜」