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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 40


お袋が買ってきてくれた駅弁で夕食を済ませ、僕は塾へ向かう。

―教室に入る。
空いてる席を探していると
「一馬ー、こっちこっちー」
呼ばれた方を振り向く。

根本祐介。
小学生の頃からの悪友だ。
実はコイツも、秀人とともに警察の厄介になった一人。
秀人を含む4人のうち、コイツ以外の3人はまだ学校に姿を現していない。
根がまじめなコイツは事件の翌日、学校にやってきて、素直に謝罪している。

「よう」
「祐介、あれから秀人に会ったか?」
「いや、俺もあいつがどこにいるのかわかんねーんだ」

「女のとこか?」
僕は中年オヤジのように、小指を立てて見せた。
「ああ、多分な・・」
祐介は嫌なものでも見るかのように、顔をしかめた。

アヤさんですっかりハマった、秀人の年上好みは有名だった。
年上と言っても、実家暮らしの高校生ぐらいと付き合えば、しけ込む所も無いであろうが、秀人の対象は1人暮らしの年上の女性ばかりだった。

僕も年上のミキさんと付き合っているのだから、批難するようなことは言えないが、
それでも、秀人の付き合う中には、自分の母親ぐらいの年令もいて、そんな女たちから可愛がられ、小遣いを貰っていたのが警察の厄介になった4人だった。

「心当たりは無いのか?」
授業が始まり、僕はノートを広げながら祐介を見た。
「アイツはモテルからさ、どんな女だって寝たがるさ・・」

僕の脳裏に森中先生に誘惑され、腰を振った自分が甦った。

年上の女性から見て、僕らのような中学生男子は格好のカモなのだろうか?
美人で年上なら形振り構わずナンパしまくっていた秀人たちだが、その相手の女性は秀人たちをどう思っていたのだろう。

ましてや、秀人は信藤さんとたった一度の関係で捨て去り
(信藤さん本人はどう思っているかは知らない)
アヤさんともひと夏の関係で終わらせてしまっている
(アヤさんは秀人の子供を孕んでしまった)。

秀人の行動や森中先生の誘惑に負けかけた自分を振り返って、結局男は単純な生き物で、女性の手の中で遊ばれているのだろうかと悶々と考えるのであった。

―塾での授業が終わる。
「帰りにコンビニ寄っていこうぜ」
「おう」
祐介の誘いに乗り、帰り道の途中にあるコンビニに行くことにした。

コンビニに入ろうとしたとき、店から一人の女性が出てきた。
「あれっ」
その人は、僕も祐介もよく知っている人だった。

「あら、一馬くんと祐介くんじゃない」
秀人のお姉さん・由佳里さんだった。

「あ、どうも・・」
ガキの時分より知られているせいか、由佳里さんの顔を見ると気恥ずかしさを覚える。
何を隠そう、僕の初恋の相手は、由佳里さんだった。

「久しぶりじゃない。一馬くんも祐介くんもすっかり大きくなってぇ〜」
そう言いながら、僕ら2人の髪をくしゃくしゃとかき混ぜる。

「や、やめてくださいよぉー!由佳里さんはいつも子供扱いすんだからぁなぁー」
祐介は膨れっ面を作り、抵抗して見せるが、その顔は高潮していた。

「秀人は?・・・帰ってないって聞いて・・・」
僕は場を壊すように、ずっと気になっていたことを由佳里さんにぶつけた。」

「ごめんなさいね。心配かけちゃって・・」
由佳里さんの黒目がちな大きな目で見詰められ、僕は慌てて視線を反らす。

「俺らに誤まんないでくださいよ。俺だって同じようなもんだし・・」

(おい、おい祐介、僕はおまえらみてーに、警察には御厄介になってねーぞ・・)
そう思いながらも、それは自己弁護するようで、由佳里さんには笑顔を向けた。

「秀人がどこにいるかなんて、由佳里さんには分からないっすよね…」
祐介が尋ねる。
「うん…最近、家の中でも、私避けられてるみたいで…」
由佳里さんは困ったような顔をする。

由佳里さんは話を続ける。
「学校からも毎日電話がかかってくるみたいで、お母さんも秀人の行方は知らないから、ちょっと疲れちゃってるみたいで…」
「そうですか…」
気の毒に思えて仕方がない。

「そういえばこの前、一馬くんや祐介くんの同級生っていう女の子から、秀人がどうしているか聞かれたんだけど…」
由佳里さんが思い出したように言った。

「「女の子…?」」

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