海で・・ 384
でも今行くと、ミキさん目当てだと勘繰られそうだしな…
それも面白くは無い…だって僕はちゃんとしたミキさんの彼氏であるんだからさ。
まあミキさんと藤堂先生のことを考えると、そんなことも言ってられない…
とりあえず彰人か涼でも、誘ってみるとすっか?…
僕は投げ出されたスポーツバックから、スマホを取り出す。
『水泳部の見学に行かないか?
興味あったらでいいから。一人じゃ不安なんだ』
彰人と涼に、同じ内容のメールを送信する。
…2人とも答えがNOなら、見学は見送り、入部なんて考えられない。
…まあ、それでも仕方ない。
やっぱ彰人と涼も僕の友達になっただけあって、汗の臭いが似合わない奴らだもんね。
汗をかくとしてもそれはHな時だけであって、それ以外は体育の授業でさえも億劫がりそうなイメージはあるよな。
おっと、あの2人はまだ童貞だったんだっけぇ。
僕は1人ニヤつき、あの時は2人に見せなかった優越感にしみじみと浸る。
…そんなことを考えているうちに、2人からの返事が返ってくる。
『中原先生は気になるけど、水泳部は、あまり興味ないんだよな…』とは彰人。
…なんというか、正直な奴だ。
一方の涼も、気にはなるけど、どうやら彼は藤堂先生のことが苦手のようで。
クールな涼には熱い男、藤堂先生は合わないのかね。
まあしょうがない…
友達といっても、ついこないだ知り合ったばかりだし、子供ん時からの秀人のようにはいかないのは当然だ…
こんな時に秀人がいてくれれば、きっと面白がって見学だの入部だのしてくれたんだろうなぁと思う。
まあ秀人もある面熱い奴だから、藤堂先生とも上手くやっていけたかもしれないしな…
僕は彰人と涼のつれない返信を読みながら、今更ながらにして僕にとっての秀人の大切を認識する。