海で・・ 382
「それにしても世間って狭いよね〜」
「うん、そういえば僕の担任、この辺りに住んでんだってさ…」
「へぇ〜それも偶然だねぇ〜」
「女の先生なの?」
「ううん…男、でもびっくりするぐらいのイケメンなんだぜ〜」
「ふ〜ん」
…あれ、そっちには興味ないんですか、あかりさん。
まあ、藤堂先生に興味もたれても困るしな。
…というか、僕としては関わって欲しくない…
「ところで、一馬くんの保護者面談とかってどうすればいいんだろう…」
「あっ…」
「初めは親戚のお姉さんってことで通そうと思っていたんだけど、そうもいかないよね?」
「それゃあ、あんなにクリソツな双子の片割れがいるんですから、ごまかしはきかないですよ…」
「やっぱりそうだよね…話しの分かる先生っていないのかな〜?」
ふっとミキさんの顔が浮かぶ…
「多分副担の先生なら…分かってくれるとは思うけど…」
「副担?女の人?」
「うん、今年先生になった新人の人」
「そうなの…」
あかりさんは手を止めて考えるようなしぐさをした。
「その人、私のこととか…絶対にいい思いされてないだろうし…」
あかりさんが見せたことのない不安な顔をする。
「話せばきっとわかってもらえると思う…同じ女の人なんだし」
「不倫の末の結婚だよ…女の敵は女って言うし…一馬くんが思うほど簡単じゃないよ…。」
「ミキさんはそんな人じゃないですよ!皆に優しいし、公平にものを考えられる人なんです!」
「あらぁ?〜随分と分かっているじゃない?そのミキさんって先生のことぉ〜」