海で・・ 377
「うーん…そういうことじゃなくてね…」
浅倉先生は周りをキョロキョロしながら
「ここじゃ話しにくいから、場所移そうか」
「はあ…」
そう言われたので、職員室を出て、人気の少ない廊下へ。
「ごめんね、呼び出したりなんかして」
「いえ…どんな話なのか気になって…」
「うん、その…お姉ちゃん、迷惑かけてない?」
「へぇ?お姉ちゃん…」
一瞬、浅倉先生から何を言われたのか分からなかった。
"お姉ちゃん"と言われて、秀人の姉ちゃんの、由佳里さんの顔が浮かんできた程だった。
「あれぇ?分からない?…私たち一卵生なんだけどなぁ〜」
「へ!?一卵性?ってことは双子!?」
「う、うん…」
そこでハッとした。
浅倉みゆき先生、彼女はあかりさんの双子の妹だと…
「浅倉あかり…お姉ちゃんが今、鈴木くんの家で…」
「あ、はぁ、はい!」
僕は思わず両手で浅倉先生の手を握りしめ、それを上下に揺すっていた…
「やっと分かったぁ〜!一目見ただけで分かると思っていたんだぞ〜」
「それゃあ僕だって昨日ヤッた人が先生として現れた時には驚きましたよ!でも世の中には似た人がいるもんだと自分を納得させたんです!」
「えっ?…」
「……………、えっ?」
お互い顔を見合わせる。
浅倉先生は驚いた表情をしながらも
「ああ…お姉ちゃんは、鈴木くんとそんな仲に…」
「あ、あの」
…不味いことを言ってしまった。
「い、いや、あの、その…ですね」
僕なりに落ち着きを取り戻し、浅倉先生に説明する。