海で・・ 371
…普通は嬉しいんだろうが、見られてる部分が部分なだけにちょっと複雑。
「あかりさんは僕のほうが歳が近いのでは」
「ふふっ、そうだけどね」
あかりさんは自分の身体を見て言う。
「…若いなんて言えるときって短いものだよ。私だって、努力してこうだから」
「努力?」
「ジム通いしたり、エステに行ったりね」
「どうりで初め会った時から綺麗な人だと思いましたよ…僕も鍛えないと駄目だなぁ〜」
「いいはよ…ここを鍛えるのには相手がいるものねぇ!…」
「うわぁ!ソコはぁあ!……」
あかりさんの手から逃げるようにして僕は裸のまま浴室を出た。
…脱衣所でタオルで身体を拭きながら、一息つく。
浴室の中で、あかりさんは鼻歌交じりでシャワーを浴び続けている。
…やっちゃったなぁ
後ろめたさは感じつつも、あかりさんに後悔はないようなので僕も前向きに考えよう。
…でも、正直、これからもないかなと思っていたり。
―あかりさんの予想は的中したのか、父さんはまだ帰っていなかった。
僕はホッと胸を撫で下ろす…
やっぱりあかりさんとヤったことは、父さんにバレる訳にはいかないもんな…
いくら優しい父さんだって、こんなことが分かったら、あかりさんを追い出しかねないだろう…
今日のことは二人だけの秘密にしなくちゃだな…
この日はそのまま部屋で過ごし、父さんが帰った時間は知らなかった。
あかりさんによると日付が変わる手前頃だったそうで…やはりスケベ親父の接待があったらしい、と。
翌朝起きるとキッチンにはあかりさんの姿だけ。
父さんはまだ寝てる…さすがに今日はお休みかな。