海で・・ 38
「ゆ、唯さん・・・僕・・もう・・」
限界の時は近かった。
そもそも長くは無いのが、ミキさんとの時には悩みの種ではあったのだ。
それでもこの時の僕は、早くいくことだけが、ミキさんに対してのせめてもの罪ほろぼしのような、そんな気がしていたのも確かだった。
それなのに、僕の思惑はそうも上手くはいかなかった。
高潮した顔の森中先生はコンドームを取り出すと、それを被せるのでは無く、僕の根元にきつく縛りつけたのだ。
「い、痛て・・よ」
「我慢して!こうすれば暫くはまだもつは・・さあ、来て・・」
机に仰向けに寝そべる森中先生は、僕のいきり勃つ先端を濡れた入口に宛てがった。
「(ミキさん、ごめん…)」
先生に食べられてしまうことに罪悪感を感じ、僕は心の中でミキさんに謝った。
男根は、みるみるうちに先生の花弁の中に入り、ずぶずぶと飲み込まれていく。
「あぁ…」
先生が恍惚の表情を浮かべる。
でも、僕には快感なんて微塵も感じることはできない。
「ごめんね、鈴木くん…」
先生が言う。
「私の身勝手な行動で、こんなことしちゃって…」
「唯さん…」
「君は、美貴ちゃんの事を、本当に、大切に思ってるんだね…」
返す言葉がなかった。
僕も、森中先生も、ミキさんに対する申し訳ない気持ちから、お互いの目を気にすることなく大粒の涙を流していた。
先生の左右に開いた乳房の上を、雨粒みたいな僕の涙がポツリポツリと落ちていく。
それでも僕は快感を求め、腰を回すようにグラインドさせ、尖った乳首を摘み上げる。
それはミキさんから教わった、彼女が好きな行為だった。
(ああ・・・ミキさん・・・)
僕は先生に覆いかぶさり、その膨っくらとした厚い唇を吸い上げる・・
舌を入れ、歯の裏側まで嘗め回す・・・
先生はそんな僕の髪に指を入れ・・・"ありがと"、と・・・小さく呟いた。
切なさが胸に染みる。
お互い、ミキさんのことを考え、後ろめたい気持ちになっているのに、身体は獣のように求めあってしまう。
限界がやってくる。
僕に、先生は、こう言った。
「今日は大丈夫な日だから…中に出していいよ!!」
…ミキさんの言う、中出しOKの合図と全く同じだった。
そのまま限界に達し、先生の中に熱い精子を解き放った。
―事後。
お互いに服を着なおす。
ミキさんのことを思っているが故の気まずさで、僕も先生も言葉を発せないでいた。
「ごめんね」
掠れた声で先生が言った。
「本当は、鈴木くんを試したかっただけなの」
「それって…」
「彩ちゃんから頼まれたの。鈴木くんが美貴ちゃんをどれだけ愛しているか、試すために君を誘惑して…」
先生の声は涙混じりになる。
「最低だね、担任なのに、自分の教え子を疑うようなことをして、ましてや、顔を知ってる女の子から寝取るようなことをして…」
「いえ、そんなことないです」
「鈴木くん…」
「唯さんのおかげで、さらにミキさんを大切にしようって気持ちが強くなりました」
「そう…」
森中先生…いや、唯さんは、涙で顔をぐしゃぐしゃにさせながら、僕に抱きついた。
「ごめんね、本当にごめんね…」
僕に抱きついて泣きながら謝る唯さん。
夕日に反射してキラキラ光る唯さんの髪を、そっと撫でてあげた。