海で・・ 359
…やっぱりそうなるんですか。
流されやすい人間が多いということかな。
「茜と優ちゃんはどうするの?」
「まだ何にも考えてない…でも水泳部はパスだな」
「あ、私もです…泳げないんで」
…優ちゃん、それは理由になるのか?
「一馬が皆から、美貴姉を守るしか無いんじゃない?」
「うん…僕も今、そう思ってた…」
本当は"皆から"というよりも、僕にとってはもう一人の顧問…"藤堂先生から"ミキさんを守らなければ…という、その思いの方が大きかった。
…家に帰って、ベッドに寝転がりながらいろいろ考える。
ミキさんと会う機会はこれから大きく減りそうだ。
それ以上に気になるのは藤堂先生の存在。
スポーツクラブでの2人を見ると、何かを勘繰らざるを得ない。
「守るったって、どうすればいいのかな…」
担任と副担任…
部活動だって同じ水泳部の顧問…
出身校だって同じで…おまけに美男美女…
この先、ミキさんと藤堂先生が付合ったとしても、誰も不思議がることはないよな…
「あれ?また制服のままで寝転んじゃってぇ〜!皺になっちゃうから、さっさっと着替えちゃってよ。」
「あかりさん!?…会社はぁ?」
「お家のことを優先して、早めに上がらせてもらってるの」
「ああ…そうなんですか」
「ホントは、会社を辞めてもいいと思ってるんだけど、お父さんはそこまでしなくてもって言うから」
…まあ、いろいろあるでしょうからね。
「さ、それより早く脱いで。洗濯するから」
「はい…」