海で・・ 356
「私も混ぜてもらっていいかな?…」
「あ、ミキさん〜!」
僕の瞳から堪えていた涙がこぼれ落ちる…
「こらぁ一馬くん、今日からは高校生なんだから、泣き虫は返上しないとね…」
そう言うミキさんも、目を赤く染めていた…
…みんな、僕のことを心配してくれて、本当に申し訳ない反面、本当に頼もしくて、ありがたかった。
「もし何か大変なことがあったら、私たちいつでも一馬くんの力になるから」
ミキさんが言う。
「あ、それは、大丈夫です」
…ここにいるみんなに、あかりさんのことを言うのは、控えるべきか…
まあそれは追々話すことにして、今はこの暖かな中に身を預けていたかった…
僕は皆の好意に甘えながら、今まで我慢していた箍が外れたかのように、肩を震わせ、しゃくり上げながら…泣いた。
どのくらい僕は泣いていたんだろう?…
涙が枯れるまで皆は、黙って僕を見守ってくれていた…
「もう大丈夫?」
「泣き足りなかったら、とことん付合うけど?」
「ありがとう…もう大丈夫」
ミキさんからハンカチをもらい、涙を拭く。
「ごめん…みっともないとこ見せて」
「そんなことないよ」
真帆が言う。
…これだけの人が僕を支えてくれる…それが一番ありがたかった。
「じゃあ行こうか」
僕は再び、前に進んでいく。
正門に入る前に深呼吸した。
泣いたことでスッキリとした気分になれ、物語りで言うとしたら、これから第2章が始まる気にもなれた。
踏みしめるように第1歩を進め、僕はニヤリと笑う。
「一馬ぁ〜早くぅ〜遅刻しちゃうよぉぉ」
真帆のやつ、呼び捨てにしやがって…
僕は苦笑いを浮かべながら皆の元に駈けて行った。