海で・・ 344
あかりさんの黒目がちな大きな瞳に、みるみるうちに溜まっていく大粒の涙が、頬に一筋流れて落ちる…
「あかりさん…!」
僕は堪らずに声をあげると、あかりさんは僕の胸にすがりついてきた…
小さく震える華奢な肩…
僕はその肩を……抱いた。
あかりさんだって、辛い人生を送ってきたんだ…
それなのに、僕はなんであんな言葉を…
申し訳なさすぎた。
「ごめんなさい、あかりさん…あかりさんの気持ちも知らないで、僕は…」
あかりさんの僕に対する気持ちは、自分のような辛い思いをしないため、そのために僕の家族になる、と言ってくれたんだ…
そう心の中で謝罪しながら、細い身体を抱きしめる…
すると、あかりさんからも背中に腕を回してきた…
えっ?…これって?
密着する身体と身体…
えっ?…マジっすか?
密着する下半身…
ヤバ…
逃げる腰を、あかりさんの手で引き戻される…
それでも無理に避けようとした僕は…
あかりさんに押し倒される格好になった。
「あ、あかりさん…」
「一馬くん…」
まだ涙の残る顔で、それでも素敵な笑顔を作ろうとするあかりさん…
…ダメだ、でも、可愛い…
そう思っていると、不意に、唇が重なった―
これは偶然なのか?…
それともあかりさんの策略なのか?…
呆然と唇を受け止める僕の口内に舌が入り込んでくる…
「うぐっ…」
抵抗の声を上げるものの、あかりさんと合わさった僕の下半身は…モソリと反応してしまう…