海で・・ 341
いつも適当でノリの軽い奴。
秀人はいつもそんな感じだった。
でも、こういうときでも変わらない態度でいてくれるから、ずっと親友でいられるのだろう。
心の中で感謝した。
しばらくして、話が終わったのか父さんが戻ってきた。
「おお、秀人くんも来てたのか」
「おじさん、お久しぶりです。」
「わざわざありがとうな…
母さんもだいぶ安定したようだから、おばさんたちは帰るそうだぞ…」
「安定したんですか!よかったな一馬!」
「うん!」
よかった…本当によかった…
「おばさんたちそこまで送ってくるから、ちょっとの間よろしく頼むぞ」
「ああ、任せてよ!」
「僕が着いてるから、大丈夫っすよ!」
僕はエレベーター前までおばさんたちを送り、秀人は腹が減ったと買い出しに行った…
「……………一馬」
えっ?…
振り向くと、青白い淡い光に包まれた…母さんが立っていた…
「えっ?母さん?」
いや母さんは病室のベッドで寝てるはずだろ、何でここにいるんだ…?
「ごめんね…一馬…」
「いや、母さん、どうしたんだよいったい」
突然起きたこの状況についていけない。
いや、母さんは病室のベッドで寝てるんだろう、ここにいる母さんはいったい何なんだ?
「何やってんだよ母さん…寝てなきゃダメだよ…!」
「何言ってんの、一馬があんなに素敵な女の子を連れきたのに…寝てなんかいられないはよ…あの二人…彼女なんでしょ?」
「ん…うん…」
「よかった…二人とも本当にいい子だは……一馬、ミキさんと真帆ちゃん…大切にするのよ……」
「えっ…なんで母さんが二人の名前知ってんだよ?…」
えっ;…?
光と共に消えていく母さん…
やだよ…
母さん…!逝かないでぇよぉぉ…!
…母さんの姿は目の前からパッとなくなり…
…また普通の時間が流れる。
な、なんだったんだ?
ロビーを看護師さんたちが何事もなく行きかう…
「一馬、待たせたな」
「お、おう」
秀人が戻ってきた。
「すまんな一馬…秀人くんも一緒に乗ってくか?」
父さんもやってきた。