海で・・ 315
ミキさんも梨花さんからワインを注いでもらってそれを飲む。
…美人にはワインが似合うなぁ
「…でも、初音がいずれ咲乃さんみたいになっちゃったら嫌だなぁ」
真帆が不安そうに零す。
「あの子なら大丈夫よ」
「どうしてです?」
「初音には真帆ちゃんみたいな友達がいるから…私は、それこそ、美貴ちゃんが言ったように孤独だったから…」
咲乃さんは思い出すように言った。
「咲乃さんみたいに明るい人には、孤独って言葉自体、無縁な気がしますけど…」
「そうでも無いのよ…こう見えても私…梨花と出会うまで友達なんか一人もいなかったのよ…」
人は見掛けによらないってことですか?…
「だから初音は真帆ちゃんや一馬くんが側にいて、本当によかったと思っているのよ…」
「咲乃さん、そうだったんですか…」
「安心してくださいよぉ、初音に助けられてるのは私なんですからぁ…」
真帆が言う。
真帆にとっては、初音はかけがえのない友達だからなぁ…
…初音がいてほんとによかったと思う。
「湿っぽい話はここまで!みんな今日は飲みましょう♪」
咲乃さんがグラスを掲げる。
それに続けとばかりに皆が立ち上がった。
「あれ?一馬くん…どうしたの?」
座ったままの僕に向かい、梨花さんが首を傾げる…
「ちょっと…脚が痺れちゃって…」
僕は赤い顔で皆を見上げる…
そりゃあ僕だって、こんなお祝の席では皆に習うべきだと分かってはいたけど、何しろ立ちたくても勃っちゃってて…;
「あらあら、どうしちゃったの〜?」
ケラケラと笑うのは咲乃さん。
「も〜う、だらしがないぞ〜、男の子っ!」
真帆は冗談半分か、ひざを小突いてきた。
「い、痛てぇえ!!!」
「…えと、ホントに足しびれてるの?」
「ま、まあ」
ミキさんは不安げに聞いてくる。