海で・・ 300
なぜだか僕を中心に抱き合う三人…
嬉しいけど…やっぱり照れます…
ミキさんや真帆はいいとしても、梨花さん…僕と関係があったことは二人は知らないんですから、そんなに身体を密着させると変に思われますって…
…しばらくの間そんな感じで。
三姉妹も僕も涙はすっかりなくなっていた。
「…いけない。こんなに時間かかっちゃって」
「仕方ないですよ」
「感動の出会いだったんだもん!」
「ありがと。それじゃあ、中を案内するね」
梨花さんに続いて、店の中へ。
古い洋館を改装したそこは、外で見るよりもゆったりと広かった。
吹き抜けの高天井の天窓から暖かい日の光り差し込み、最高に気持ちいい空間だ…
「素敵なお店ですね!なんだか凄く懐かしい感じがします…」
光りを浴びるミキさんは、まるで天使のようだった…
お店が正式オープンしたわけではないので、店内の客は僕らだけだ。
「そう言ってくれると嬉しいな。幼い頃に過ごした風景をイメージしたの」
「オシャレですね〜」
真帆もニコニコしながら辺りをきょろきょろ見回す。
オーナーである梨花さんを筆頭に、店のスタッフは見た感じ若い女性ばかりだ。
少し僕だけが浮いた感じに思える。
それに皆、とても魅力的な女性ばかりだ…
「“美人姉妹"が通わなくても、充分評判になるはね…」
呟くような小さな声で、ミキさんが真帆に言う…
「ホント…冗談でもここで自分のこと美人なんて言えないぃ…」