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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 29

「あの…ミキさん…中原美貴さんのことは…」
「あぁ…鈴木くんは、美貴ちゃんのことをご存知なのね…」
さすがに、僕の彼女です、とは言えなかったが…

「美貴ちゃんにも、つらい思いさせちゃったのよね」
遠い目をする紀美子さん。
「今でも、家には来ていると…」
「そう、頻繁に来てくれてるし、私達も気遣ってくれる、ホントにいい子なの」
紀美子さんの笑顔が、心優しいミキさんの笑顔とダブって見えた。

僕は今までのつかえが取れた気がし、ホッと胸を撫で下ろした。

「それじゃあミキさんは、貴女が実のお母さんだって知っているんですね。」
頬を上げ、僕は紀美子さんの顔を見た。

紀美子さんの眉がピクリと動く・・・

「冷えてきたから、車の中で話しましょう・・」
紀美子さんは僕の腕を掴み、強引にともいえる力で、紀美子さんの車に誘われた。
誘われるがまま、助手席に乗り込む。
「お家まで送っていってあげるわ」
「あぁ、ありがとうございます」
車が動き出す。

「鈴木くんと美貴ちゃんは、その、どういう関係なの?」
僕のほうから言えなかったことを、紀美子さんのほうから尋ねてきた。

僕は思い切って明かす。
「ミキさんは、僕の、お付き合いしている彼女です」
「そう…」
紀美子さんは驚く様子もなく、優しい笑顔のまま、ハンドルを握っていた。

それは、さもそんな事は"どうでもいいわ"と言っているかのようで、僕は多少なりとも拍子抜けした。
考えてみると、ミキさんが若造の僕と付き合っていることは、端から見るとただのお遊び。
可愛いペットと戯れるに過ぎないことなのか?とも思えた。
 
そう考えると、紀美子さんが僕に向ける優しい笑顔は、上辺だけのものに過ぎないのではないか?という疑心が生まれた。
確かに、絶えず見せるその笑顔は余裕すら感じ、どこか上から目線のように思えた。

ならば何故、声を掛けてきたのか?
これは偶然だったのか?

一つ生まれた疑心は、考えると考える程に、数を増していった。

「美貴ちゃんが付き合ってる年下の男の子って、君のことだったのね」
「ミキさん、話していたんですか…?」
「ええ。とても楽しそうに話してくれたから、いい子なんだろうなって思っていたんだけど」
ミキさんが嬉しそうに他人に僕のことを話すのを想像すると、少し恥ずかしい気持ちになる。

「私からしてみたら意外に思ったんだけど、美貴ちゃんが君のことを話しているときって、本当に楽しそうな顔してるの」
「そうですか…」
「ええ。今日初めて鈴木くんに会って、美貴ちゃんの気持ちが十分分かった気がするわ」
「僕は、ミキさんにふさわしい男なんでしょうか?」
正直、不安だった。

「それは愚問よ」
紀美子さんはあっさりそう言う。
「見た目や年齢差だけでふさわしくないと決め付けることは良くないと思うの。お互い、大切な存在と思っていれば、きっとうまくいくと思うわ」
「そう、ですね…」

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