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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 28

「秀人君・・戸山秀人君は何度か家に遊びに来たのよ。」

あ、・・秀人か・・奴が脱童貞を果たしたのは、確か信藤さんの家だったと聞いた・・
「あいつは僕の親友です。いろいろヤンチャもするけど、根はいい奴なんです。」

「そうね。私もそう思うは・・昨晩のことは残念よね・・真帆もショックを受けてたし・・」

僕の脳裏に、信藤さんの涙が過った。
  あの涙は秀人への想いなのか?・・・

とすると、信藤さんは秀人のことを本気で好きなのかもしれない。
その気持ちを抑え切れなくて、教室で一人…あんなことを…

一方で、あれ以後友人数人でナンパに精を出すなんてことをやって、昨日あんなことになった。
夏休みにナンパして関係を持ったアヤさんとはあれ以来音沙汰なし。
岩波さんや木崎さんは秀人が信藤さんを『捨てた』と思っている…

「まあ、あいつがいろいろやってたのは事実ですけど…あのことで凹むような男じゃないと思いますし」
「そうよね。最近は来ないけど、また遊びに来て欲しいわね」

「あ、はい・・でもあいつは信藤さんには相応しくは無いかも・・」
僕は思いきって本心を告げた。

「あら、そうなの?」
紀美子さんは意外そうに首を傾げた。

「い、いえ・・悪い奴じゃ無いんです・・ただちょっと・・」
「ちょっと?・・・何?」
「はい・・女癖が・・悪くて・・」
「まあ・・」
紀美子さんは困ったように首に手をやる。

「真帆は今でも、秀人君を想っているは・・そりゃあ、始めての人だから当然だはよね・・・
親子揃って、女癖が悪い男に引っ掛かるのね・・」
そう言いながら紀美子さんは、何かを想い出すかのような、遠い目をした。


…まあ、広隆さんもそういう人だったな、とあのときの話を思い出す。
もしかして、紀美子さんも、広隆さんに未練があったりするのだろうか。
これだけ運命に振り回されっぱなしの母娘もいないのでは、と思う。

だからこそ僕はミキさんをこの先もずっと大切にしたいと思うわけだ。

しかし、紀美子さんは今、ミキさんのことをどう思っているのだろう…?
頻繁に家には来ているだろうけど…

昔のことを、初めて会った僕に言えるということは…
ミキさんのことを紀美子さんに思い切って聞いてみようと僕は考えた。

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