海で・・ 270
確かに大学出たてだから、アヤさんはまだ22歳だもんな…
まあそれを言ったら、秀人は15なんだけどね…
「世間からみたら早いかもしれないけど、今まで散々男の子とは遊んできたから、もういいのよぉ〜」
アヤさんは大きなお腹を擦りながら、直立不動なイケメンホテルマンたちを見て微笑む…
「ウチはみんな女だから、お父さんったら秀人くんに期待してるのよ」
唯さんが言う。
…そりゃねえ。
まあ秀人はプレッシャーなんて気にするタチではないからいいけど。
話もそこそこに、僕らの目の前にメニューが運ばれてくる。
「社長より“よろしく頼む”と仰せつかっております…メニューに無い物でもシェフに腕を振るわせますので何なりと…」
支配人さん…そんなこと言ったら、この人たち図に乗ると思うんですけど…
「それじゃあ…乾杯にピンクのドンペリと…取りあえずキャビアでも頂くは…」
ほらね…
その注文をしてすぐに、テーブルの上には初めて見る豪華なメニューがいっぱいになる。
…うわぁ、これ、実際にあるもんなんですね。
「一馬くんも遠慮せずに、ほら」
アヤさんがこれはどう?てな感じにメニューを薦めてくる。
「あ、はい…」
僕はまだ、食事の質より量ですね…
「一馬くんは男の子なんだから、精力つけなきゃ!」
「あ、はい…」
「ここは女の子目当てってことで、カップルも多く来ると思うのよ…」
「ああ、アニバーサリ―にホテルを使うカップルって多いみたいですよね…」
「正解!だから男性には精力のつくメニューも多く用意してあるの…」