海で・・ 269
「それじゃ、行きましょうか」
車を降りて、ホテルへと向かう。
僕らが向かっていることが分かったのか、ホテルにうっすらと明かりが灯った。
…人生でこんなことは初めてだ。
ミキさんアヤさんと知り合ってから、こんな貴重な経験の連続だな…
アーチ状の門をくぐると、建物までの道標のように、路の左右には小さな灯りが浮き上がるように点灯した。
「綺麗!なんだか感動しちゃうね…」
高揚した声のミキさんが僕に腕を絡めてくる…
当る乳房にドキリとしながら、僕の頬は恥ずかしいぐらいに上がってしまう…
照らされた明かりの案内に従うようにホテルの中へ。
…内装も本当にホテルとは思えないくらいだ。
「ようこそお越しくださいました」
支配人らしき人を筆頭に、お出迎えを受ける。
…すごくドキドキするんですが
僕達たった4人のために、タキシードまで着込んでのホテルマンたちが整列している。
3人の女性たちが目を輝かせているのは、皆が皆イケメンだからだろう…
「女性客をターゲットにしていることはあるでしょ?…面接には私も参加したのよ…」
自慢気に言うアヤさんの声がホ―ルに響いた…
「へえ…アヤさんも会社の経営に関わっているんですか?」
「…長女の私がやるべきところよね」
唯さんが苦笑いして答える。
「お姉ちゃんは自分の夢があったからいいのよ。私は将来は漠然としか考えてなかったから…早く結婚して家庭を作ろうって思っていたけど」
「それにしては早過ぎたよね」
ミキさんが言う。