海で・・ 265
念のため父さんにメールすると、父さんも今日は外で食事だという。
…きっと相手はあかりさんだな?
そう思うと少しにやけてきた。
父さんも楽しんできて欲しいものだ。
リビングでそのときを待っていると、家の前で車が止まったのに気づく。
「一馬くーん」
アヤさんの声だ。
はいはい待って下さいね…
玄関の姿見で襟を整え、唾で髪を撫で着ける…
身だしなみは大切だもんね。
「お待たせ〜!」
スニーカーを引っ掛け、勢いよく扉を開けると、三人の笑顔の中に…
「うお!@@…ミ・ミキさぁ…ん?…」
さっき唯さんが言ってた中に名前がなかったので、ここにミキさんがいたのには驚いた。
「え…ミキさんいたんすか?」
「ふふ、一馬くんを驚かそうってね」
アヤさんが子供っぽく笑う。
まあ、これから相談することに大きく関わる人だけど。
ミキさんは、僕の気持ちに関係なく、にこやかに微笑んでいた。
まあどちらかというと問題は真帆な訳だから、ミキさんに相談するのが一番よかったのかもしれないんだよな…
「どうしたの?…悩める少年って顔してるはよ…」
横に座った僕の頬に、手を宛がうミキさん…
「ミキさん…会いたかった…」
僕は小さく囁きながら、ミキさんの肩にもたれ掛かかった…
「あーら、どうしたの?この先毎日会えるのに」
「…だからだよ」
「…そうね。私もよ」
ミキさんは僕の頭を優しく撫でてくれた。
「そういえばさ、一馬くん、何で私に電話してきたの?」
「ええ、実は…」
僕が話し出すと同時に、唯さんが車をゆっくりと発進させる。