海で・・ 249
…ふむ、どうやら今夜も帰りが遅いか帰ってこないか。
どちらかのようで…
クローゼットの引き出しを締め、次の場所を物色しよう。
今度は父さんのデスク。
パソコンの前にはノートが一冊、他にもメモがあったり、ここに何かないか探してみる。
引き出しの奥に隠すようにしまってあったのは、無修正もののエロ本…
父さん、こんなの見てんのかよ…
大人になれば、オナニーなどしなくなると勝手に思い込んでいた僕には意外だった…
確かようと、机の下のごみ箱から丸まったティッシュを手にとる…
恐る恐る鼻に宛がうと、そこからは確かにあの“栗の花”の香りが漂ってくる…
いくつ歳を重ねようが結局男は男である…そう思った次第だ。
やってることは変わらない。
この無修正のエロ本、引き出しの奥に数冊入っていた。
…どうやら父さんのコレクションだったようだ。
質がいいだけに、結構なお値段がする。
…学生の僕には手が出しづらいものだ…まあ、お世話になることはないだろうけど。
本を引き出しの奥にきちんとあったようにして戻し、僕は目の前のパソコンを起動させた。
パスワードは父さんの誕生日で何無くクリアできた…
仕事関係のだろうと思われるフォルダが画面一杯に並んでいる。
こんなんじゃパンツの人の手掛かりなんて分からないか…
僕は半ば諦めながら、画面下のフォルダだをクリックした…
「ん?」
そのフォルダは、周りのものとは雰囲気がちょっと違った。
「画像が沢山あるなぁ…」
デジカメで撮った写真がフォルダの中にたくさんあった。
その中にある画像をひとつ開く。
「あ…」
父さんの隣で、にこやかな笑みを浮かべる黒髪ロングの若い女性に、僕は思わず見惚れてしまった。