海で・・ 222
わざと身体を引いてみせる。
「あっ…」
それが少し勢い余った。
優ちゃんが無理矢理手を伸ばしてきて、僕を押し倒す格好になってしまった。
「うわぁ!?」
「あっ!?」
優ちゃんの身体が密着する。
「あら〜、お取り込み中でしたか」
「あ、彩姉!?」「アヤさん!?」
…いつの間に入ってきたのか、アヤさんが部屋のドアの前にいた。
「うわぁ!どうしたんですかぁアヤさん!?」
僕は慌てて優ちゃんの身体を持ち上げ、そこから離れる。
「ごめんごめん〜こんなにも早くに、二人が打ち解けるとは思ってもいなくてぇ〜」
アヤさんは大きなお腹を摩りながら、二ヤリと頬を上げた…
「い、いえ、これはその〜…」
「そうそう、これは事故だよ、彩姉!」
僕以上に優ちゃんがまくし立てて否定する。
…優ちゃん、顔真っ赤だよ。
「意地張らなくていいのよ〜、優。アンタがそこまで積極的だとは思わなかったわ〜」
ニヤニヤするアヤさんとは対照的に優ちゃんは首をブンブン振って否定する。
「違う違う!バランスが崩れて覆い被さっちゃっただけで、積極的なことなんて何も出来なかったんだって!」
「あらぁ〜?本当はしたかったって、口ぶりに聞こえるけど?」
「もぉ〜彩姉ぇはぁ〜。そりゃー私だって一馬さんがどんなパンツを穿いているのかぐらいは気になるけど、彩姉ぇが思っているようなHなことなんて期待していませんよぉ!」
あれ?そうだっての?…僕があれこれ考え過ぎたのかよ…
…いや、ちょっとおかしいぞ。
「ふふ、墓穴掘ったわね、優」
「へ…?」
「今の、本音じゃないの?」
「そっ…」
優ちゃん、また顔が真っ赤になった…
「かっ、一馬さんっ、トイレどこ?」
「え?」
…現実逃避ですね、わかります。