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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 23

「ところでさ」
木崎さんが話を変える。

「朝、鈴木くんを送ってきた女の人は、彼女さんじゃないって言ったよね」
「うん、あの人はそのお友達なんだ」
「その人とはどうやって知り合ったの?」
岩波さんが尋ねる。

「夏休みに秀人と海に行ったとき、一緒に知り合ったんだ。彼女のほうはてっきり秀人と付き合うのかと思ったんだけど…」
そう言うと、岩波さんと木崎さんの表情が変わる。

「戸山の奴…」
「真帆ちゃんだけでなく、他の女の人も裏切ってたのね…」
おいおい。
「まあ、一緒にいた僕も…」
「鈴木くんは悪くない!すべての元凶はあいつなんじゃないの!?」
「茜ちゃん…落ち着いて…」

「戸山みたいな野蛮人から真帆ちゃんを守るためにも、鈴木君!お願いよ!」
岩波さんの汗ばんだ手が僕の手の甲に乗せられ、それに強く握りしめられた。

「あ?・・ああ。」
何をお願いされたのか分からないまま、僕は生返事をした。
実のところ、女子から手を握られるという、何とも言えぬ気恥ずかしさでいっぱいだったのだ。
目は泳ぎ、そしてそれはグランドを見下ろす。

ラケットを片手にスコートを翻す信藤さんが、駈けて行くのがちょうど見えた。
その姿に、周りの男子たちが熱い視線を向けているのも、俯瞰で見るとよく分かる。

信藤さんに思いを寄せる男子は、案外に多いいのだということを、僕は今さらながらに気づいた。

話を終え、帰ろうと校門に向かって歩く。
途中、グランドの向こうにいる信藤さんに視線をやると、偶然、彼女と目が合った。
ニコリと微笑む信藤さん。
僕も小さく手を振り返した。

―家に帰る。
あの夏の出会い以降、いろいろなことがありすぎて、頭の中が正直追いつかないのが本音だ。
受験まであと半年をきっているというのに、勉強に集中できないのも悩みだ。

そんな中、机に向かっていると、ふとあるときのミキさんとの会話を思い出す。

「私、家庭教師のバイトやってるの」
「そうなんですか」
「あ、といっても、女の子限定だよ?」

そう聞いて、安心したことを覚えている。
いくらバイトとはいえ、ミキさんが他の男の家にいるのも嫌だし。
それと…あんな家庭教師がいたら勉強どころじゃないな…と考えてしまう。

それはそれで、別の意味では勉強になるな・・などと考え、スウェットの上から股間を握り締める。
まあ男でいいから、僕にも家庭教師が着いてくれれば、成績も上がるんだろうにな・・などと考え、ベッドにダイブする。

そういえば・・・
信藤さんは部活も続けているにも関わらず、最近、テストの点数が、めっきり上がったという噂を聞いた。
確か・・家庭教師が着いたとか・・・

あ!・・
僕は腹筋を使い、ガバッと身を起こした。

ミキさんは頻繁に信藤さんの家に行っていると聞いた。
にも関わらず、ミキさんはお母さんのことは知らない・・・

ならば何故、信藤さんの家に行く用事があったのか?・・
それはつまり―信藤さんの家庭教師がミキさん―

…いや待て。
ミキさんは信藤さんの存在は知らなかったんだ。
ミキさんとお母さんの仲はよさそうだった…らしい。
じゃあ、ミキさんに家庭教師を頼んだのはいったい誰だ?

これ以上考えるのが無理だと判断した僕は、アヤさんにメールを送った。

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