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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 180

アヤさんは膨れたお腹を、円を描くようにゆっくりと擦る。
「一馬くんも触ってみて…」
「え、いいんですか?」
「もちろん!この子のお父さんの、大切な友達なんですもの…」
「そ、それじゃあ…」
恐る恐る手を近づけると、その手をアヤさんに取られ、お腹の上に宛てがわれた。

…この中にいる子の父親が、秀人なんだ…
そう思うと、感慨深くなる。

「まさか、もう母親になるなんて思わなかったの」
「そりゃそうですよね」
「でも、今はこの子のために、頑張ろうって思ってる」
そういうアヤさんの顔は、もう母親の顔になっていた。

秀人の父親になる姿…ちょっとまだ想像できないな。
でもいずれは、いい父親になってると思う。
「大事に育ててくださいね」
「ありがとう。美貴にも同じこと言われたわ」
アヤさんはそう言って微笑んだ。

手の平に伝わる何ともいえない温かさをゆっくりと撫で、僕はそこから手を離す。
車はゆっくりと発進し、僕は海を眺めた。
波光はクリスマスネオンのように輝き、その上を2羽の海烏が、交尾するよかのように飛んでいた。

子供か…
セックスをすれば、子供ができるんだ…
その当たり前のことを、僕はどこか忘れていた…

…ただ、僕が秀人と同じように、今父親になることなんてとてもじゃないけど考えられない。
境遇が違うとはいえ、秀人はやっぱり人間として、出来ているんだ…

でも、自分を卑下してもいけない。
僕は僕らしく、一歩ずつ少しずつ、人間的に成長していけば良い。
そうやって、ミキさんとも真帆とも向かい合っていく。
そのために、さらに頑張るんだ―


―数日後。
『一馬くん今日暇?一緒にジムに行って泳がない?』
ミキさんからそんなメールが来た。

 その誘いが嬉しかった…
僕はすぐさまに…"愛してる"とメールを返した。
それにうそ偽りは無ければ、持ち上げるつもりも当然無かった…
僕はミキさんを愛している…そう思える自分に喜びすら覚えていた…

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