海で・・ 168
こんなに華奢な体を抱くのは、初めだった。
目に飛び込んでくる白いうなじが 、堪らなく色香を漂わせてくる…
考えみると、スポーツジムに通うミキさんも、テニス部の真帆も、健康的な美しさを持った女性だった。
唯さんだって、由佳里さんだって、茜だってそれは同じで、梨花さんのように抱きしめるだけで折れてしまいそうな程、はかなげではなかった。
今なら、いい、かもしれない…
梨花さんも、ミキさんや真帆と、これから、いい関係が築けるんじゃないかと、僕は思った。
「一馬くん…」
「梨花さん…」
まだ頬を伝う涙を、そっと指で拭う。
「ありがとう、私も、いつか、こんな優しい男の人に―」
そう言う梨花さんの、唇を奪った。
「うぅ…」
くぐもった声を漏し、梨花さんは腕を突っ張り必死に抵抗する。
それは僕にとっては子供に押されているようなもので、あまりにも非力だ。
僕は唇を押し付けたまま、片手で梨花さんの両手首を拘束すると、抗うその身体をソファーの上に押し倒した。
「一馬くん…」
少し困った表情をしながら梨花さんが囁く。
「こ、こんなことしたら…君がお付き合いしてる妹に、申し訳ないわ…」
「いえ、大丈夫です」
僕は自信を持ってそう告げた。
「僕は、みんな大好きですから。誰か一人じゃなくて、皆を同じだけ、愛したいんです」
「一馬くん…ホントに優しいのね…」
梨花さんの両腕を解放すると、僕の背中に回して、胸に抱き寄せてきた。
細い身体のわりに、間に潰れる乳房の感触は確かなものがあった。
早くそれを露にしたい欲望を押えつつ、僕は首筋に舌を這わす。
「ふふ…随分慣れているのね…」
梨花さんは僕の頭を子供にするように撫でながら、脚の間に膝を立ててきた。