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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 166

慌てて扉を開ける。
「あっ、お久しぶりです…」
自分の声が上擦っているのが分かった。

僕の顔を見るなり、頭を大きく垂れる梨花さん…
「あの時は…ごめんなさい…」

その言葉を聞いても、あの時のことを思い出すだけで、僕の身体は小さく震えた。
それほどに、僕にとってあの夜の出来事はショッキングだったんだと、第三者的に身体の反応みて分かった。

梨花さんの姿は、あの時とは別人のようだった。
長い髪はばっさりと切り落とされ、化粧も薄め…というか、殆どスッピンだった。
その顔立ちは実年齢よりも幼く見え、どことなく真帆やミキさんに良く似ていた。

「どうぞ、入ってください」
「いいの?ご両親は…」
「親父は仕事だし、お袋も夕方まで帰ってきませんので」
「そう…」

華奢な身体を屈め、ヒ―ルを脱ぐ姿はモデルのようだった。
ミキさんと真帆には悪いが、姉妹の中で一番のスタイルがいいのは、梨花さんかもしれなかった。

「お邪魔します…」
薄く微笑むその顔に…ドキリとする…
あの時から見た目が地味に変わったお陰でか、僕の緊張も幾分かは解けていた…

「どうぞ」
「ありがとう」
お茶を入れて、梨花さんに出した。

高慢なお姉様のイメージが、一気に優しいお姉さんというイメージに変わった。
…僕も、そのほうが好感が持てるんだけど。

「今日は、どうして…」
「君に謝りたかった…それだけよ」
梨花さんが、今にも泣き出しそうな、悲しい顔をした。

「そ、そんな顔しないで下さい!!僕は気にしていませんから!」
思わず声に力がこもった。
男は女の涙に弱いとは言うけれど、まさしくそれは僕の為にあるような言葉だった。

「一馬くんは…優しいのね…」
目頭を押さえながらも、梨花さんは無理して笑顔を作ってくれた。

「そうですよ。梨花さんには笑顔の方が似合います!」
僕は顔を赤らめながら、どこかで聞いたような気障な台詞を口にした。

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