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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 148

「いいのか?…」
僕は確認するように、木崎さんの眼を見つめた。
木崎さんは僕というよりも、初体験を向かえることに興味があって、それを期待しているのが痛い程分かった。
女だって男だって、愛とか恋とか言う前に、好奇心で初体験を向かえる奴は多いのだ。
僕だってミキさんに抱かれた時のことを考えると、正しくそうだったんだから、偉そうなことは言えなかった。


「…僕が相手でいいの?」
「鈴木くんだから言えるんだよ…」
木崎さんは顔を真っ赤にして俯いた。

普段見ないいじらしい姿に、僕のほうまで少し恥ずかしい思いがする。
「本当は、ずっと、鈴木くんが真帆に相応しい男か試していたんだけどね」
「それって…どういうこと?」

「真帆とはね。幼稚園の時から小学校も中学も、ずっと一緒だったの…」
囁くような声は、耳を傾けなければ聞こえないほどに、か細いものだった。

「ああ知ってるよ。幼馴染みなんだろ?…」
コクンと頷き、ストローの白紙を小さく折畳む木崎さんは、、普段男勝りの活発さを見せる彼女からは想像もつかなかった。

「僕にとっての秀人みたいな存在なんだね。僕もアイツのことがやたら気になるからね。」
「ずっと引き立て役なところも…私たち似てるかも?…」

目蓋を上げる木崎さんの表情は、明らんでいた。

お互い衝突していた同士が、実は似たもの同士だった…なんかちょっと面白い。
「…まああいつと似たもの同士って言われると不本意なんですけどー」
「そうかー?」
「私はあんなふうに変なこととか暴走なんてしてませんから」
嘘付け嘘付け。
クラスの決め事とかで男女間の揉め事が発生すると真っ先に切れてたのはどこの誰ですか。
まあ、貴女よりの何倍も厄介な存在だったお方がいますがね…
…そのお方、野上初音さんも高校でまた一緒になるわけですが。

クスクスと笑い、互いの緊張感が幾分か解けていた。
「じゃあ、行くかぁ!」
僕はそそくさとトレーをかたずけると、木崎さんの手を強引に握りしめ、店を後にする。
僕の覚悟は決まっていた。
木崎さんが僕を選んでくれた意味の、何分の1も分かってはいなかったけど、それでもそれに応えたいと思っていた。
例えこれが僕たちにとっては、最初で最後のセックスになろうとも、今はミキさんや真帆のことは考えずに、木崎さん1人だけを見なければいけないのだ。

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