海で・・ 147
…おいおいおい。ちょっと待ってくれ。
ってか、僕と知り合った女の人、この攻め方みんな好きだよな…
「こうされると、男の人って気持ちいいんだよね?」
「え、や、あの…」
木崎さんの手が擦り寄るたびに、股間が興奮する。
「…どこで覚えたんだよ」
「兄貴の部屋にそーゆー本があれば、わかっちゃうもんなのよ」
木崎さんの兄貴…確かF高の先輩になるんだよな…
中学に入ったばかりの頃、生徒会長であった木崎さんの兄貴の顔は朧気に覚えていた。
あんなにも爽やかで、オナニーなんかしなそうに見えても、やっぱあの人も男なのだ…と、僕は感心してしまった。
「へぇ、あのお兄さんが」
「…生徒会長とかやってたけどね、家じゃグータラで何も出来ないからね」
「意外だね」
「ま、兄貴より…私のほうが早いのは…なんか意外だなぁ」
…ん?
聞かなかったことにしよう。
確かに僕の2つ上とはいえまだ17才、木崎さんの兄貴がまだ童貞だとしてもそれは不思議ではなかった。
僕だって去年の海が無かったとしたら、多分まだ童貞で、夜毎オナニー三昧の日々を送っていたに違いなかった。
そう思うと、どんなに清廉潔癖そうな木崎さんの兄貴だって、ベッドの下にエロ本の1つや2つ隠し持っているのは当然だと思えた。
「ねえ」
木崎さんが少し照れた顔をしてこちらを見つめる。
「何?」
「この後…私の家に行かない?親も兄貴も、夕方まで帰ってこないからさ…」
…木崎さんは顔を紅潮させながら、言葉を紡ぐ。
その表情には、ある種の決意のようなものが見えた。