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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 136

「・・・・ホント?」
僕は自信がなかった。
こんな風にいつまでも自信が持てない自分に嫌気がさしていながら、それは堂々回りだった。

「一馬くんの悪いところよ。メガティブな感情はそれを引き寄せてしまうことだってあるは。」
ミキさんは空になった僕のカップに紅茶を注ぎながら、ゆっくりと言った。

「で、でも・・僕、入学できたのだってギリギリだし・・セックスだって..」

「まさか?!セックスが下手だって言うんじゃ無いでしょうねぇー?!」
ミキさんと真帆は、同時に声を上げた。

「い、いや、そんなつもりはまったく…」
僕は慌てて否定する。
…そんなことを言うつもりはなかったんだけど。

「一馬くんが下手とか…そんなのあるわけないじゃん」
真帆が顔を少し赤くしながら言う。
「男の魅力はセックスが上手いかだけじゃないし…勉強だって、これから頑張ればいいのよ。何かあったら私だってお手伝いするわ」
ミキさんもそうフォローする。

「ありがとう。ミキさん、真帆。僕、2人に出会えてなかったら、今頃どうなっていたか・・」
それは本心だった。
去年の夏に、受験生であるにも関わらず秀人と海に遊びに行って、そこでミキさんと出会えたことから、総べてが始まったのだ。
あの頃童貞だった僕は、たった半年でミキさん、真帆それに森中先生と由佳里さんを知った。
それを考えると、これからミキさん、真帆が僕と違う人を好きになったとしても、それは致し方ないことで、そんな先のことを悩むこと自体が、馬鹿気たことなのかもしれなかった。

…それに、僕にもこの先新しい出会いがあるかもしれないし。
春から通う高校はもともと女子校で、共学になったのは最近、今も生徒数では女子のほうが多い。
でもまあ…まさかね。

―食べ終わったお皿とティーカップは真帆が後片付けをするようだ。
その間、僕は向かい合ってミキさんと話をする。

「そういえば、アヤさんは元気ですかね?」
「この前会ったよ。だいぶお腹が大きくなってたね」

「うわぁ〜秀人ももうすぐ親父になるかぁ〜!」
「ちょ、ちょっと…」
ミキさんがキッチンに向かい目配せする。
(ぁ・・・)
確かに、真帆の前で秀人の話しをするのは憚かられることだった。

「でも、あっちでがんばってるみたいよ、秀人君…。
 この分だとアヤの家に認められて、日本に帰ってくる日も近いかもって…」
小声で耳打ちするミキさんの表情は明るかった。

僕とミキさん、秀人とアヤさん。
もしあの海で、この組み合わせ違っていたとしたならば、ミキさんが秀人の恋人になっていたかもしれなかったのだ。
そう思うと、人と人との巡り合わせが、とても不思議に思えた。

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