海で・・ 1084
きっと、この男の人が梨花さんの…そう思って当然だろう。
何も言わないけど彼のほうもニコニコしており、仲がいいことは明らかだし。
梨花さんに案内され廊下を歩きリビングに入る。
「素敵…」
ミキさんがため息をつく。
「すごいですね…」
まるでセピア色の空間…
西洋の貴族の館にでもありそうなクラシックな家具が配置されている。
「さあ座ってぇ〜、紅茶でいい?…」
「あっ、はい…」
この空間ではコーヒーというよりも紅茶がお似合いだよな…
さっきの彼氏さんが紅茶を入れ、お菓子まで用意してくれた。
梨花さんを積極的にサポートしている印象で、よくできる人のような感じがする。
「あっ、ありがとうございます…」
その彼から紅茶を差し出され、ミキさんも少し緊張したように受け取る。
ちょっと顔が赤らんでいる…
やっぱりミキさんでもいい男には弱いってことなんだろうか?
「どうしたの一馬くん、ヘンな顔して…」
梨花さん;…こんなところで突っ込まないでくださいよ;…
「あっ、いえ…それよりもこの人のこと早く紹介してくださいよぉ〜」
話を振られた彼はキョトンとしてこちらを見る。
どんな仕草でもイケメンは違うなぁ。
「やっぱり気になるかしら?」
「そりゃあもう」
ミキさん、ノリがいいので助かる。
「彼は、木崎敦さん…隣のお店を始めるにあたっても協力してくれた人でね…」