海で・・ 1021
例えこの子と血の繋がりが無かったとしても、僕は兄貴としてこの子を一生守っていく…そう心に誓わずにはいられないよな…
「ごめんなさいね…暫くの間は入院ってことになりそうなのよ…」
「そんなこと気にしないでくださいよ…あかりさんには早く元気になって貰わないと困りますから…」
「そうだぞ…俺たちのことは心配はいらないさ…一馬と二人でやっていくのには慣れているからな…」
母さんが生きている時だって…病気の母さんは度々入院して、父さんと二人で生活することはよくあったもんな…
「お姉ちゃん、女の子だってね」
「はい、無事に済んで何よりです」
翌日、学校の廊下ですれ違ったみゆきさんに声をかけられた。
お姉さんのことはやはり心配だったのだろう、ホッとしていた。
「年の離れた妹になっちゃったけど、お兄さんも頑張ってね」
「もちろんです」
初めて“お兄さん”と呼ばれてなんだか照れる;…
「お姉ちゃんが入院している間は、私が鈴木家の家事一切を引き受けるはぁね。」
「うぇ?!…みゆきさんがですかぁ?…」
そんなことは初耳だった…
「そう…お姉ちゃんに頼まれたの…だから暫くの間、鈴木君の家にご厄介になるよ…」
「うぇ?!…それって家に寝泊まりするってことですかぁ?…」
「もちろんそうよ…遅刻しないように鈴木君を毎朝ちゃんと起こしてって…お姉ちゃんに頼まれているんだから…」
遅刻しないようにって、僕は特別朝に弱いわけでもないのに…それはあかりさんもよく知ってるでしょ…
「みゆきさん、父さんに会ったことは?」
「病院で何度もあるよ。その時に挨拶して話もつけてあるし」
…そうだったのか。
「私、特別年上の人が好きなわけじゃないけど、お姉ちゃんが惹かれるのもなんとなくわかった気がするんだ…」
そうなのかな?…
まあ父さんは優しいし、見た目だってカッコいいからそれも分からなくも無いけど…
「男2人だけの家に来てくれるなんて、迷惑なんじゃないですか?…」
当然そう思う…曲がりなりにもみゆきさんは結婚前でもあるんだし…
「クス…そんな心配はいらいないはぁ、迷惑どころか楽しみなんだからぁ」